来所不要・簡単便利に相続放棄を実現!
さまざまなご事情によって外出が難しい方や、弁護士事務所がある市街地から遠いところにお住まい方でも、当法人であれば事務所へご来所することなく相続放棄をすることができます。
当法人では、相続放棄に強い弁護士が、お電話で丁寧に状況を伺い、最適な相続放棄の方法を検討します。
緊急対応が必要な事案等を除き、お電話と郵送により相続放棄のご依頼をしていただくことがでいます。
その後、当法人の弁護士が相続放棄の手続きに必要な書類の作成、収集、家庭裁判所からの質問対応等のほか、お客様の状況に合わせて債権者対応などもを行います。
ご自宅にいながら、お電話ひとつで家庭裁判所から相続放棄が完了した旨の書類を受け取ることができ、債権者からの催促を止めることもできます。
相続放棄申述書作成2万2000円(税込)~ 安さにこだわります!
当法人では、相続放棄申述書の作成を2万2000円(税込)~にて承っています。
さらに、お客様のご要望、置かれている状況に応じ、戸籍謄本類の収集や、家庭裁判所からの質問状への回答サポート、被相続人の債権者を名乗る者への連絡など、さまざまなサポートサービスを用意しております。
相続放棄の注意点
あまり知られていないことですが、実は相続放棄は簡単ではありません。
正確に言いますと、相続放棄の手続きの流れ自体は比較的簡易ではありますが、手続き以外の点について、実務上の落とし穴がたくさん存在するのです。
例えば、次のようなことをしてしまうと、相続放棄が認められなくなってしまう可能性があります。
・被相続人の財産を廃棄してしまうこと
・被相続人の債権者に対し被相続人のお金で弁済してしまうこと
・被相続人の不倒産を売却したり、建物を取り壊してしまうこと
・遺産分割協議をしてしまうこと
相続放棄を検討している場合には、事前にこのことを専門家に相談し、相続人の方の状況に応じた具体的なアドバイスを受けておく必要があります。
また、相続放棄をした際には、次順位相続人への相続権が移転しますので、その際の対応を事前に検討したり、法律上の相続放棄と事実上の相続放棄にはどのような違いがあり、本当に法律上の相続放棄をするべきか否かの検討をするなどの必要があります。
お客様の声・解決事例
当法人では、何十年も音信不通だった親が死亡したことを、市役所からの通知によって初めて知ったというケースや、夏場に孤独死し身元不明であった方が親族であったことが判明したというケース、被相続人の死亡後半年以上経過してから多額の借金が判明したケースなど、複雑な事情を抱えた依頼者様のお話を聞き、家庭裁判所に対して的確な書面を提出することで問題を解決しています。
相続放棄は相続を得意とする弁護士に依頼すべき
1 このサイトをご覧の方へ
今このサイトをご覧の方は、相続に関して何かしらのトラブルをお持ちであったり、非常にお困りの状態であったりするかとお察しいたします。
亡くなった方に借金があったり、他の相続人とトラブルになりそうであったりと、大変な不安を抱えながら相続放棄のことを調べていらっしゃると思います。
例えば、被相続人の債権者を名乗る貸金業者から支払いを求められたり、市町村から税金の滞納分を支払うよう書面が届いたりと、とても恐ろしい思いをされていないでしょうか。
これから先に何が起こるかわからず、どのような対応をとったらよいか分からないかもしれません。
相続の順番も複雑で、現在相続放棄手続をするべき人は誰なのかすらも分からないということもあるかと思います。
お亡くなりになった方の借金の支払い催促が来たということで、債務整理や破産等のご相談に来られる方もいらっしゃいますが、より抜本的な解決法として相続放棄を提案させていただくこともあります。
単に相続放棄の申述書を書くだけでは、ご相談者様を取り巻く問題を解決することはできません。
ご相談者様の状況をしっかりとお聴きして、置かれている状況を詳しく理解した上で、単に相続放棄をするだけでなく、相続を取り巻く問題を全般的に解決できる専門家に相続放棄を依頼することが大切です。
2 相続放棄は高度な専門知識・技術が必要です
相続放棄は、とても高度な法的手続です。
失敗してしまうと、事実上ほとんど取り返しがつきません。
相続放棄は簡単にできる、というような情報を見かけることがあります。
確かに、被相続人がお亡くなりになった日から3か月以内の単純な申述書を書くだけであれば、難しくはないかもしれません。
しかし、相続放棄の難しさは別の点にあります。
その最たるものの一つとして、例えば法定単純承認事由(相続放棄が認められなくなってしまう行為)を行わないようにすることが挙げられます。
何が法定単純承認事由に該当するのか、これは十分な知識を持った上で、経験を積んだ専門家にしかわかりません。
被相続人を取り巻く関係者は、相続放棄のルールを知らないことがほとんどです。
そのため、法定単純承認事由に該当する行為をするように促してくることもあります。
このような者への対応を含め、相続放棄を終わりまでしっかりサポートすることは、法律の専門家というだけでは誰でもできるものではありません。
何か一つ間違えれば二度と相続放棄はできず、取り返しのつかないことになるかもしれません。
相続は全般的に専門性が高いため、相続放棄を得意とする弁護士に手続きを依頼することをおすすめします。
被相続人の死亡から3か月を超えてしまった場合などは、高度な法律構成を裁判所に示さないと、相続放棄が認められないこともあります。
一見ゴミにしか見えない被相続人の残置物でさえ、処分をして良いか否かについては、気を付けなければならない点がたくさんあります。
このような場合、相続放棄の経験が豊富で、最新事例等のノウハウを十分に持っている事務所に相談・依頼する必要があります。
相続放棄手続は一度しか行えません。
家庭裁判所において受理されなかった場合、借金を負わなければならず、返済するか、債務整理手続きを改めて行わなければならないなど、非常に大変なことになります。
相続放棄の経験が乏しい人に依頼した結果、残りの人生を台無しにしてしまうかもしれません。
3 相続放棄は代理人がいると安心・安全
意外と知られていないことですが、相続放棄の代理人となれるのは弁護士だけです。
他の士業は「代行」はできても、代理人にはなれません。
具体的には、相続放棄申述書に「申述人手続代理人弁護士 〇〇」と書くことができます。
このようにしないと何が起こるのでしょうか。
実は、相続放棄申述書を提出すると、裁判所が申述人に対して質問状を送付してくることがあります。
これは、本当にその人が相続放棄をする意思があるかを確認し、なりすましによる放棄を防止するためのものです。
裁判所によっては、数多くの質問事項があり、かつその内容も専門的なものであることがあります。
回答の仕方次第で、相続放棄が認められなくなるかもしれません。
相続放棄申述書に弁護士が代理であることを書いておいた場合、この心配はなくなります。
弁護士が代理人となった場合の裁判所の運用は、次の3つです。
①代理人に対して質問状を送り、代理人が回答する。
②申述人本人に質問状を送り、代理人が回答をアドバイスし、本人が回答する。
③代理人が就いている場合、そもそも質問状を送らない
このやり取りを自分自身で行ったことが原因で、相続放棄が認められず、人生を失うことになるかもしれません。
他にも、戸籍の記載内容などについて、裁判所から確認が入ることがあります。
代理人が就いている場合は、代理人に連絡がなされます。
戸籍自体とても難解であり、専門家でない人が読むことは難しいため、裁判所に対する回答に瀕することがあるかもしれません。
このことからも、相続放棄の経験が豊富な事務所に相談・依頼する必要があります。
4 相続放棄完了後もサポートできる専門家が必要
実は、相続放棄が完了した後の対応の方が大切なケースもあります。
裁判所から相続放棄申述受理通知書を受け取り、相続放棄手続が完了した後でも、被相続人の債権者を名乗る者から金銭の支払いを求められることがあります。
具体的には、圧着式のハガキや封筒などの書面で支払い請求がなされることが多いです。
相続放棄手続を完了しても、裁判所から債権者に対して連絡がなされるわけではありません。
そのため、債権者は相続放棄をしたことを知らないので、放っておくと何度も請求してくることもあります。
場合によっては裁判になることもあり得ます。
しかし、ご安心ください。
このような事態に陥ることを防止することはできます。
まず債権者に連絡を取り、相続放棄をした旨の事情を説明します。
そして、債権者側の内部的な事務処理運用をヒアリングし、相続放棄申述受理通知書の写しを提供することで、多くの場合請求は止まります。
当法人は、単なる相続放棄の手続だけではなく、事後の債権者対応にも力を入れております。
依頼者様に安心していただくためのノウハウを有しております。
専門家でない方が債権者へ連絡することは、とても勇気が要ることだと思います。
話した内容次第では言質を取られ、相続放棄の効力を争う可能性さえあります。
そのため、相続放棄後の債権者対応も含め、相続放棄の全体像を理解している弁護士に依頼することをお勧めします。
もしも相続財産を処分してしまったら
1 遺産を売却してしまった場合の対処
被相続人が所有していた不動産や、自動車・バイクなどの動産を売却して換金してしまう行為は、法定単純承認事由に該当します。
法定単純承認事由に該当する行為があった場合、原則として相続放棄ができなくなります。
もし売却してしまった場合には、次善の策として、すぐに買手や仲介業者へ連絡し、返金して元に戻してもらうよう相談しましょう。
相手のいる話なので、必ずしも成功するとは限りませんが、実際にバイクを売却してしまった直後にディーラーに事情を説明してバイクを元に戻すことができた事例もあります。
2 遺産分割協議をした場合には錯誤取り消しを検討する
意外に思われるかもしれませんが、遺産分割協議をすると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
遺産分割協議は、遺産の一部を取得する意思の現れとして、法定単純承認事由に該当する行為とされます。
しかし現実には、遺産分割協議を行った後になって、相続債務が発見されるということもままあります。
典型的なケースとして、被相続人が連帯保証人となっていた場合があります。
連帯保証人となっていた場合、主債務者が自己破産手続きの準備に入ったり、行方不明になったりしたことがきっかけで債権者からの連絡がなされることもあるため、被相続人が亡くなってしばらく経ってから判明することがあります。
このような場合、相続人としては、相続債務である連帯保証債務の存在を知っていたならば遺産分割協議をせず、相続放棄をしていたと考えられます。
そこで、遺産分割協議における意思表示に錯誤(前提となる事実の認識に誤りがあった)があったして取り消し、法定単純承認事由に該当する行為が消滅する結果、相続放棄ができる可能性も残されています。
なお、2020年4月の民法改正以前は、錯誤による意思表示は無効とされており、相続債務の存在を認識することができない状態でした遺産分割協議を無効として、相続放棄を認めた裁判例がありました。
相続放棄が可能な期間について
1 相続の開始を知った日から3か月
相続放棄が可能な期間は、「相続の開始を知った日」から3か月とされています。
この「相続の開始を知った日」という表現は、かなり抽象的な印象があります。
しかしこのようにしないと、相続人にとっては酷な結果となってしまいます。
仮に相続が開始した日(すなわち被相続人が死亡した日)から3か月以内にしか相続放棄ができないとしたら、どうでしょうか。
被相続人が死亡した日と、そのことを知った日または自分が相続人であることを知った日は、必ずしも同じとは限りません。
諸々の事情によって、被相続人が死亡したことを知った日が、被相続人死亡日から3か月以上経過した後であったとしたら、その時点で相続放棄をすることができなくなってしまいます。
そして、場合によっては多額の相続債務から逃れられない結果となってしまいます。
もちろん、被相続人がお亡くなりになられたのを看取った場合や、お亡くなりになられた日に連絡を受けたという場合には、被相続人死亡日と相続の開始を知った日は同じになります。
一方で、実務においては市役所や債権者から、被相続人死亡の連絡を受けて被相続人死亡を知ったというケースもよくあります。
このような場合、被相続人死亡日よりも、相続の開始を知った日は後になります。
また、夏場に被相続人が孤独死されていたような場合、ご遺体の損傷が激しいため、ご遺体の身元が判明するまで時間を要することもあります。
ご遺体の身元が被相続人であることが判明して、初めて相続の開始を知ったことになります。
被相続人と疎遠で長年没交渉となっていて、住所も連絡先も知らないという場合、相続人の方は被相続人がお亡くなりになっても、ほとんどの場合すぐにはそのことを知ることができません。
そして、被相続人に借金があったりなどすると、債権者が相続人を調査し、連絡が来るということがあります。
この場合、通知を受けた日(正確には、通知を読んだ日)が、熟慮期間の起算点となります。
そのため、この日から3か月以内に相続放棄を行うこととなります。
2 相続の開始を知った日が被相続人死亡日以外の場合には裁判所に対する説明が必要となることもある
1で説明しましたとおり、法律上は、相続放棄は「相続の開始を知った日」から3か月以内に行えばよいことになっています。
もっとも、実務においては、可能な限り被相続人死亡日から3か月以内に相続放棄の申述を行うようにしています。
理由は次のとおりです。
相続放棄の申述をする際は、管轄の家庭裁判所に対し、相続放棄申述書に被相続人死亡の記載のある戸籍(除籍)を添付して提出します。
家庭裁判所は、公的な書類である除籍謄本により、被相続人が死亡した日を確認することができます。
被相続人死亡日から3か月以内に申述されていれば、理論上、相続の開始を知った日から3か月以内であることは確実であるため、法定単純承認事由に該当する行為がない場合には、通常問題なく相続放棄を認めることになります。
相続の開始を知った日が被相続人死亡日よりも遅く、かつ相続放棄の申述をした日が被相続人死亡日から3か月以上経過している日である場合には、事情が変わってきます。
このような場合には、被相続人死亡日から3か月以上経過してから相続放棄の申述をせざるを得なかった理由を、書面等で家庭裁判所に対して示す必要があります。
場合によっては、債権者からの連絡書面等、根拠となる資料も用意する必要があります。
手続きに必要な書類
1 相続放棄の添付書類
相続放棄の手続きを行う場合、相続放棄申述書という書類を作成するとともに、次のような書類を収集して家庭裁判所に提出する必要があります。
2 共通して必要なもの
・被相続人の除籍謄本(死亡の記載のある戸籍謄本)
・被相続人の住民票除票または戸籍の附票
・相続人の戸籍謄本
3 子・兄弟姉妹の相続放棄をする場合
・被相続人出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・(兄弟姉妹の場合)被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人が子や兄弟姉妹である相続放棄をする場合、収集する戸籍謄本類が他のケースに比べて多くなるため、注意が必要です。
戸籍謄本類の収集に必要な期間を考慮し、早めに相続放棄の準備に着手する必要があります。
4 代襲相続人が相続放棄をする場合
・被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本
5 被相続人の死亡日と相続開始を知った日が異なる場合
・被相続人死亡の事実が書かれた市役所からの通知書や、債権者からの支払い請求書など
相続放棄手続中に債権者債権者から連絡が来たら
1 借金返済の催促が来たら「相続放棄の手続中」と答える
被相続人が生前に貸金業者などからお金を借り入れていた場合、相続人に借金を返済するように連絡が入ることがあります。
貸金業者が被相続人死亡の事実を知らない場合、被相続人名義で支払いを催促する書面が送られてくることもあります。
このような場合には、貸金業者に対して、相続放棄の手続中である旨を連絡することをおすすめします。
まだ相続放棄の手続きを開始していなくても、一旦相続放棄に向けて検討していると伝えましょう。
貸金業者に連絡するのは不安に思われるかもしれませんが、催促を完全に無視することは、あまり良い方法ではありません。
返済の意思がないとみなされると、訴訟を起こされたり、支払督促の申立てをされたりするなど、かえって面倒な事態になる可能性があります。
ご自身で貸金業者に連絡するのは怖いと感じられる方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合、相続放棄の代理をする弁護士を通じて、貸金業者等へ連絡してもらうようにすると安心です。
2 被相続人が賃貸住宅に住んでいた場合は柔軟な対応が必要
これはとてもよくあることですし、そして現行法上とても悩ましい問題でもあります。
この問題には非常に微妙な部分が多く、慎重かつ柔軟な対応が必要となります。
まず、被相続人以外に住んでいる人がいない場合には、賃貸借契約自体は賃料の滞納などを理由に、賃貸人側から一方的に解除(法定解除)してもらいます。
合意解除をしてしまうと、相続財産(賃借権)の処分に該当してしまう可能性がありますので、避けましょう。
もし相続人が被相続人と同居していて、その家に住み続けるのであれば、改めて相続人の名義で賃貸借契約を締結します。
最も悩ましいのは、被相続人が賃貸物件に独居していた場合の残置物、すなわち家財道具や衣類等の扱いです。
法的な観点だけでいえば、相続放棄を予定している、または相続放棄をした相続人は、残置物に関しては何もする必要はありません。
むしろ、相続放棄をした後は相続人ではなくなりますので、被相続人の財産には関与できない立場になり、残置物の処分は法定単純承認事由に該当してしまう可能性もあります。
そのため、原則としては賃貸人において相続財産清算人選任の申立てを行い、相続財産清算人が残置物を処分し、賃貸物件の原状回復を行うことになります。
もっとも、賃貸人から相続人に対して強く賃貸物件の明け渡しを求めてくるケースもあり、これを完全に無視するのは、現実的には難しい場合もあります。
被相続人の住んでいた部屋がゴミ屋敷状態だったりする場合には、良心の呵責もあるかもしれません。
そこで、実務においては、財産的価値のない物、つまり値段がつかないものや処分費がかかるものは相続財産ではないと解釈し、処分してもよいと考える傾向もあります。
実際、ゴミ同然の残置物を処分して問題になることは、実務上ほとんどありません。
ただし、明確に認められているわけではないことに注意が必要です。
裁判所は、形見分け程度の財産処分(数点程度の物品の処分)については法定単純承認事由に該当する行為としない旨を示しているのみで、残置物全般については明確に判断していません。
そのため、残置物処分については、とても慎重に判断する必要があります。
3 被相続人の保証人になっていた場合
相続人が被相続人の債務の保証人となっていた場合、たとえ相続放棄をしても、保証債務は残ってしまいます。
その理由は、保証債務は相続債務ではないためです。
保証契約は、債権者と相続人との間で別個に締結された契約であるので、保証債務は初めから相続人固有の債務となります。
そのため、保証人としての支払いを求められた場合は、支払っても法定単純承認事由とはなりません。
保証人となることが多いケースとしては、被相続人の未払家賃や、入院費などがあります。
もし支払う場合には、後々のトラブルを防ぐため、領収書等に保証債務の履行として支払った旨を記載してもらい、法定単純承認事由に該当する行為でないことを説明できるようにしたほうが良いでしょう。
裁判所へ書類を送付すれば相続放棄は完了するのか
1 裁判所に対する相続放棄の手続き
相続放棄は、管轄の家庭裁判所に対して相続放棄申述書という書類と、戸籍謄本類等の付属書類を提出することで手続きが開始されます。
書類が家庭裁判所に到達し、事件番号が付与されると、相続放棄の申述をしたことになり、期限の問題はクリアされます。
その後、家庭裁判所は、相続放棄申述書を受取ると、その内容を審査します。
実は、相続放棄申述書を提出しただけでは相続放棄の手続きは完了しません。
相続放棄申述書を受け取った後、家庭裁判所は申述人の方へ質問状を送付することがあります。
この質問状に回答を記入し、家庭裁判所へ返送することで、相続放棄の手続きが先に進みます。
そして特に問題がないことが確認されれば、相続放棄の申述が受理されるという流れになります。
2 質問状を送る目的
家庭裁判所が質問状によって質問をする目的は、主に次の2つです。
1つは、申述人の真意に基づく相続放棄の申述であるか(他人がなりすましていたり、他の相続人によって強要されたりした相続放棄ではないか)を確認することです。
もう1つは、相続放棄が認められなくなる行為(法定単純承認事由に該当する行為)を行っていないかを確認することにあると考えられます。
質問状への回答の仕方によっては相続放棄が認められなくなる可能性もありますので、慎重な対応が必要です。
3 質問状送付先のパターン
家庭裁判所によって運用が異なりますが、質問状の送付先は、多くの場合次の3つのパターンのうちのどれかになります。
①申述人の住所へ送付する(申述人が回答を書いて裁判所へ返送する)
②代理人弁護士がいる場合は代理人の事務所宛に送付する(代理人が回答して返送する)
③代理人弁護士がいる場合に限り、質問状を送らない
②の場合、代理人弁護士が回答を作成・返送することができます。
③の場合は、質問状対応の巧拙により相続放棄が認められなくなるリスクがありません。
これは、弁護士が代理人に就くことの大きな価値の一つです。
代理人弁護士があらかじめ上申書を提出することで質問状を送らない運用をしている家庭裁判所や、代理人弁護士に対して電話やFAXで照会を行う過程裁判所もあります。
4 質問事項
質問事項も、家庭裁判所によって異なります。
簡単な質問しかしない家庭裁判所もあれば、専門的な質問を10問以上する家庭裁判所もあります。
どの家庭裁判所がどのような運用をしているかは、実際に申述を行ってみるまでわかりません。
また、相続放棄に至るまでの事情によって、質問の内容も変わることがあります。
特に、被相続人が死亡してから3か月以上経過している場合においては、家庭裁判所も慎重な判断をしたいと考えることから、質問が厳格化する傾向にあります。
申述人ご本人様に質問状が送付された場合、焦らず、専門家に内容を伝えて、回答を検討すれば安心です。
当法人では、相続放棄の質問状対応だけでも相談を承っておりますので、質問状への回答にお悩みの際はお気軽にご相談ください。
他の手続との関係
1 遺産分割協議中の相続放棄には注意が必要
遺産分割協議を行っている最中であっても、相続放棄することはできます。
しかし、遺産分割協議を完了してしまうと、原則として相続放棄はできなくなるので注意が必要です。
いったん遺産分割協議に参加し、その過程において相続財産よりも負債の方が多いことが判明した場合や、取得する必要のない財産のみであることが判明した場合、または他の相続人とトラブルになって協議から離脱したい場合などには、遺産分割協議書に署名押印をせずに相続放棄を選択するということも可能です。
このような方法をとる場合、相続の開始を知った日から3か月以上経過してしまうと相続放棄ができなくなってしまいますので、あらかじめ相続放棄の熟慮期間の延長手続きを行っておくと安全です。
2 相続人が自己破産中である場合・自己破産を検討している場合も注意が必要
相続人が自己破産の申立てを行い、破産開始決定がなされている状態である場合には、相続放棄を行ったとしても原則として限定承認としての効果しか認められません。
これは、本来相続人が取得できるはずであった相続財産を得られなくなることで、相続人の債権者を害することを防止するために設けられている制度です。
もっとも、被相続人にめぼしい財産がなく、相続債務の方がはるかに多い場合などは、相続放棄申述が受理された後、破産管財人がこれを認める旨を家庭裁判所へ申述することで、相続放棄の効果を持たせることができます。
自己破産の手続きをする前に相続放棄をした場合は、特に問題はありません。
被相続人に関して請求できる金銭と相続放棄
1 被相続人に関して請求できる金銭
被相続人の死亡により、受け取ることができるお金が発生することがあります。
典型的なものとして、相続人が受取人となっている生命保険金が挙げられます。
その他、未支給年金、死亡退職金などがあります。
しかし、相続放棄を検討している場合には、これらのお金の中には、受け取ってよいものとそうでないとものがあります。
相続放棄を検討する段階においては、このことは最も悩ましい問題のひとつとなります。
2 金銭を請求して受取るべきか否か
⑴ 法定単純承認事由
法定単純承認事由(相続放棄が認められなくなってしまう事由)に該当する行為のひとつとして、被相続人の債権の取立てがあります。
相続財産である被相続人の債権の取立てをしてしまうと、相続放棄が認められなくなります。
被相続人の債権について、請求できる権利を行使してお金を受取ることは、債権の取立てになります。
⑵ 相続人固有の権利
悩ましいことに、被相続人死亡により受取ることができる金銭の中には、相続人固有の権利に基づくものがあります。
相続人固有の債権であれば、被相続人の権利ではないため、そもそも相続財産ではありません。
そのため、受け取ったとしても法定単純承認事由には該当しません。
相続人が受取人となっている生命保険金、相続人を受取人として定められている死亡退職金・未支給年金、葬儀を主宰する者に支給する旨が条例等で定められている葬儀費用補助金などは、相続人等固有の権利ですので、相続放棄をする場合でも受取ることができます。
3 実務上の問題
相続放棄の実務の現場では、もっと大きな問題があります。
上述のように、理論上は受け取ってよいお金とそうでないお金とを区別することができます。
他方、現実に受取ろうとしているお金が、法定単純承認事由に該当しないものであるかを判断することは、まったく別の問題です。
実際に受け取ってよいかを確実に判断するためには、請求の都度書類等の内容を確認したり、会社や市町村の窓口に問合わせをして請求できる金銭の法的性質を確認するほかありません。
これは容易なことではないため、相続放棄検討段階では請求をせず、申述期限の延期の申立てをして、時間をかけて検討することが望ましいです。
被相続人に関する金銭について少しでもお悩みでしたら、相続放棄を得意とする弁護士が在籍している当法人までお気軽にご相談ください。
所在地
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(東京弁護士会所属)
0120-159-030
山形にお住まいで相続放棄をお考えの方へ
そのため、亡くなった方が多額の借金を残していた場合などには、遺産を相続したくないとお考えになる方もいらっしゃるかと思います。
また、例えば遺産の中にご実家の土地・建物が含まれる場合、ご自分は既に実家を離れて生活しており、今後も住む予定が無いので、相続したくないとお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合は「相続放棄」の手続きをすることで、財産を一切受け継がないものとすることができます。
相続放棄をするためには、原則として、ご親族が亡くなったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所での手続きを行う必要があります。
この期限に間に合わなかった場合、手続きができなくなってしまうおそれもあるため、相続放棄を検討されている際にはできるだけお早めに弁護士へご相談されることをおすすめします。
また、相続財産の調査などに時間が掛かり、3か月以内に相続放棄をするかどうかのご意向を決めることが難しい場合には、裁判所に検討期間の延長を申し出ることができます。
当法人では、期間延長の手続きにも対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。