他の手続との関係に関するQ&A

文責:弁護士 鳥光 翼

最終更新日:2021年01月24日

他の手続との関係に関するQ&A

Q1 遺産分割協議中でも相続放棄はできますか?

A

 結論から申し上げますと、遺産分割協議中でも相続放棄はできます。

 遺産分割協議を終えてしまうと、法定単純承認事由に該当する行為をしたとされ、原則として相続放棄はできなくなるので注意が必要です。

 遺産分割協議を終えたということは、相続財産を取得する意思があるとみなされるためです。

 もし相続放棄をする可能性がある場合には、予め他の相続人にその旨を伝えておき、相続放棄の手続きが完了するまで遺産分割を保留してもらうなどの対応をするとよいでしょう。

 相続放棄を終え、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が交付されたら、その写しか相続放棄申述受理証明書を、他の相続人に渡してあげましょう。

 このようにすることで、他の相続人のみで遺産分割協議を進めることができるようになります。

Q2 自己破産手続き中でも相続放棄はできますか?

A

 自己破産の開始決定がされても相続放棄はできます。

 ただし、破産法により、自己破産手続きが開始されてからの相続放棄については、破産法によって、原則として限定承認の効果しか生じない旨が定められているため、注意が必要です。

 

【参考条文】(破産法)

(破産者の単純承認又は相続放棄の効力等)

第二百三十八条 破産手続開始の決定前に破産者のために相続の開始があった場合において、破産者が破産手続開始の決定後にした単純承認は、破産財団に対しては、限定承認の効力を有する。破産者が破産手続開始の決定後にした相続の放棄も、同様とする。

2 破産管財人は、前項後段の規定にかかわらず、相続の放棄の効力を認めることができる。この場合においては、相続の放棄があったことを知った時から三月以内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 

参考リンク:e-Gov法令検索(破産法)

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